「脳内は認知症のような状態でも、実際には発症しない人がいる」――そう聞くと、年を重ねることへの不安が少し和らぎませんか?
実際、ある研究では、認知症を発症せずに亡くなった高齢者のおよそ3割に、アルツハイマー型認知症の原因とされる「アミロイドβ」の蓄積が確認されました。つまり、「発症してもおかしくない脳」でありながら、最後まで認知症にならなかった人が一定数存在するのです。
では、彼らに共通するのは何だったのでしょうか?そのヒントが「認知予備能(にんちよびのう)」です。これは、脳がダメージを受けても機能を保つ“認知の余力”のようなもので、後天的に鍛えることができます。
横浜総合病院 認知症疾患医療センター長・長田乾医師によれば、この認知予備能を高めることで、誰でも「認知症になりにくい脳」を手に入れることが可能だといいます。
以下に紹介するのは、長田医師が提案する「脳の貯金」を増やす9つの習慣です。
1.学びを続ける習慣
教育歴が長いほど、認知機能の低下を防ぐ“貯金”があると言われています。特に10年以上の教育を受けた人は、6年以下の人より認知症のリスクが約3.5倍も低いという調査結果があります。
でも、「学生時代に勉強しなかったから」と諦める必要はありません。実際、アメリカの修道女を対象にした研究では、高齢になってからも学び続けた人が、脳に認知症の兆候があったにも関わらず、亡くなる直前までしっかりとした認知機能を保っていた例もあります。
2.新しい言語に挑戦する
バイリンガルやトライリンガルの人は、単一言語の人よりも平均して3.5年も認知症の発症が遅れるという報告があります。外国語を使うことは、脳をフル回転させる最高のトレーニング。中高年になってからでも語学教室に通うことは大きな意味を持ちます。
3.感謝される環境に身を置く
認知症予防において、「自己肯定感」は大きな鍵となります。家族から褒められたり、役割を与えられることで、脳は活性化されます。反対に、否定的な言葉や態度は脳の働きを低下させてしまうのです。
たとえば、料理の手際が悪くなっても「おばあちゃんのご飯はやっぱり美味しいね」と声をかけること。それが、家族でできる認知症予防の第一歩です。
4.人とのつながりを大切にする
孤独は認知症の大敵。誰かと会話をする、笑い合う、助け合う。こうした人間関係の中で脳は刺激を受け、機能を維持しやすくなります。
5.好奇心を持ち続ける
新しい趣味や体験は、脳に新たな刺激を与えてくれます。旅行、読書、楽器演奏など、「やってみたい」と思ったことを、ぜひ行動に移してみましょう。
6.運動を習慣にする
運動は、身体だけでなく脳にも良い影響を与えます。ウォーキングやヨガなど、軽い運動を日常に取り入れることで、脳の血流が改善され、認知機能の維持につながります。
7.質の良い睡眠をとる
脳の健康には、十分な睡眠が不可欠です。アミロイドβの排出は睡眠中に行われるため、良質な眠りを確保することが、認知症予防につながります。
8.バランスの良い食事を心がける
野菜や魚、発酵食品などを取り入れた食事は、脳の働きを支える重要な要素。特に地中海式食事法が認知症リスクを下げるとして注目されています。
9.「終活」を急ぎすぎない
意外かもしれませんが、「人生を終わらせる準備」を早くから意識しすぎると、活動性が落ち、認知予備能が下がる可能性があります。未来に希望を持ち、「まだまだこれから」と思える気持ちが、脳の元気を支えるのです。
人生は、最後まで「学び」と「つながり」で満ちている
年齢に関係なく、私たちの脳は成長し続けることができます。どんな人生を送るかによって、認知症のリスクを減らすことは可能なのです。
“これでいいのだ”の精神で、今日から一つでも新しい習慣を始めてみませんか?それがきっと、未来の自分を守る力になります。
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